元秘書有罪、首相の責任触れず 政治配慮か 真実置き去り(産経新聞)

 現職首相の元公設秘書による重大事件の判決言い渡しは、わずか20分足らずで終わった。言い渡しのほとんどは認定した犯罪事実の読み上げに割かれた。判決には鳩山由紀夫首相の元公設第1秘書、勝場啓二被告(59)を批判する言葉が並んだものの、鳩山氏の責任には全く触れず、事件の真相は最後まで浮かび上がらなかった。初公判から1カ月足らずで判決に至るという異例のスピードで進んだ今回の公判から、国民が得たものは少ない。

 勝場被告は22日、開廷予定の約2分前、午後2時58分に東京地裁104号法廷に姿を現した。

 濃紺のスーツに小豆色のネクタイ。黒いネクタイを締めていた約1カ月前の初公判に比べ、服装は明るい印象だが、表情はこの日も硬かった。

 主文が言い渡された瞬間、一度うなずくしぐさをした勝場被告。その後は頭を小さく下げ、判決に耳を傾けた。

 判決後、取材に応じた勝場被告の弁護人は「本人は判決を厳粛に受け止めている」と述べた。

 弁護人は「清廉な政治家である鳩山由紀夫先生のイメージを損ないたくないとの思いから行った行為が、かえって先生にご迷惑をおかけすることになってしまったことは痛恨の極みであります。本当に申し訳ありませんでした」とつづられた勝場被告のコメントを配布した。

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 現職首相の「政治とカネ」の問題が問われた今回の裁判。先月29日の初公判はわずか2時間弱で即日結審し、1カ月足らずで判決に至った。このため、実母から提供された12億円を超える巨額資金の使途など未解明部分が多く残された。

 異例のスピード決着となった最大の理由は弁護側の姿勢にある。通常、起訴内容を認めている被告でも、判決をできるだけ軽くするため、被告の情状面を指摘してくれる証人の出廷を求めるのが、刑事裁判における弁護側の常套(じょうとう)戦術だ。だが、弁護側は被告の家族や周辺者の証人申請を行わなかった。

 弁護側の関係者はこの理由について、今夏の参院選への影響を抑えることを挙げている。被告に有利な情状を訴えるよりも「鳩山氏の立場」を重視した結果との見方もできる。

 一方、検察側の冒頭陳述はA4判で6枚しかなかった。冒頭陳述は法廷で今後証明すべき事実を述べるものだが、現職首相の「政治とカネ」という重大問題にしては拍子抜けするものだった。

 こうして弁護側と検察側、そして地裁は速やかな訴訟進行を優先、公判の内容は証拠調べと被告人質問のみという中身の薄いものとなった。鳩山氏による釈明会見後も、誰もが疑問を抱いた「巨額の資金は何に使われたのか」「自身の政治活動の基盤となっている資金管理への首相の関与の度合いはどの程度だったのか」といった点を、司法の場が突き詰めることはなかった。

 今回のようなスピード審理では、結局どんな事件だったのか、国民に伝わる部分は少ない。「永田町」への“配慮”を優先した結果、多くの真実が置き去りにされたのであれば、刑事裁判への不信を招きかねない。(大泉晋之助)

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